フッ素樹脂とは

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「フッ素樹脂」ってなに?

フッ素樹脂とは、フッ素原子を含むプラスチックの総称で、
PTFEやPFAなどの9つの種類があります。
耐熱性、耐薬品性、低摩擦性などの優れた特性を持つため、
半導体・液晶製造装置や化学プラント・理化学機器など
あらゆる業界で幅広く利用されています。
一般的にテフロン™と呼ばれますが、テフロン™とは
ケマーズ社が製造するフッ素樹脂の商品名です。

 

フッ素樹脂の種類とは

フッ素樹脂には下記の表の9つの種類があります。
陽和は下記の種類の中でもPTFEとPFAについて社内で成形から行っています。
また、その他のフッ素樹脂に関して購入素材にて切削加工での対応をいたします。



略称

名称

特徴

PTFE

四ふっ化エチレン樹脂

(ポリテトラフルオロエチレン)

・代表的なフッ素樹脂で最も多く使用されています。

・耐熱性、耐薬品性、電気的特性、非粘着性、自己潤滑性に優れています。

PFA

四ふっ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂

(パーフルオロアルコキシアルカン)

PTFEに匹敵する特性を持っています。

・溶融成形が可能で、半導体分野での使用が多く、分子量の違いにより銘柄が分かれています。

FEP

四ふっ化エチレン-六ふっ化プロピレン共重合樹脂

(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)

PTFEに比べ耐熱性は劣りますが他の特性は同等です。

・溶融成形が可能で、電線被覆材の用途が多く、分子量の違いにより銘柄が分かれています。 

ETFE

四ふっ化エチレン-エチレン共重合樹脂

(エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー)

・溶融成形のできる熱可塑性樹脂です。

・ガラス短繊維で強化できる初めてのフッ素樹脂です。

PVDF

ふっ化ビニリデン樹脂

(ポリビニリデンフルオライド)

PTFEに比べ耐熱性、耐薬品性は劣りますが、機械的強度に優れ、溶融成形が可能です。

・紫外線やガンマ放射線に対する耐性に優れています。

・プラント配管部品等比較的大型の製品に使用されています。

PCTFE

三ふっ化塩化エチレン樹脂

(ポリクロロトリフルオロエチレン)

・ガスバリア性に優れ、特に水蒸気透過性はプラスチックの中で最も低いといわれています。

PFAFEPより耐熱性、耐薬品性は劣りますが、機械的特性(特に硬度)は優れています。

ECTFE

三ふっ化塩化エチレン-エチレン共重合樹脂

(エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー)

・機械的強度、溶融加工性に優れています。

・化学的、機械的性質など性能バランスがとれていますが、現在国内ではほとんど使用されていません。

TFE/PDD

四ふっ化エチレン・パーフルオロジオキシソール共重合樹脂

(テトラフルオロエチレン-パーフルオロジオキソールコポリマー)

PTFEに近い諸物性を有し、非晶質透明、低吸湿性、低屈折率、低誘電率に優れていますが、特定溶媒に溶解します。

 

PVF

ふっ化ビニル樹脂

(ポリビニルフルオライド)

・機械的強度、耐候性に優れています。

 

フッ素樹脂の特性

フッ素樹脂の特性は主に下記の8つです。


耐熱性(熱に強い)

連続使用温度は一般のプラスチックと比較して高く、
PTFE、PFAは260℃、FEPは200℃、ETFE、PVDFは150℃です
耐熱性(熱に強い).jpg

低温特性(寒さに強い)

耐寒性は一般のプラスチックと比較して高く、PTFE、PFA、FEP、PCTFEは液体窒素のような極低温の環境下で使用可能です。
低音特性(寒さに強い).jpg

耐薬品性(薬液に強い)

下記の表にまとめたものが主なフッ素樹脂の耐薬品性です。

 

PTFE

PFA

FEP

ETFE

PVDF

PCTFE

アルカリ

溶剤

  ★:非常に優秀 ◎:優秀 〇:秀 △:可 


 

低摩擦性(滑りやすい)

表面の摩擦係数は既知物資の中で最も低く、摩擦抵抗がほとんどかかりません。

耐候性(屋外に強い)

・太陽光線の光化学反応による分解作用を受けない
・太陽中の酸素やほかの化学物質による酸化作用を受けない
・低温から高温までの広い温度範囲において十分な諸特性を発揮する
・ほとんど吸収しないので降雨や温度変化の影響を受けない
上記の性質を持っている為、プラスチックの中で最も耐候性に優れた樹脂です。

電気的特性(電気を通しにくい)

あらゆるプラスチックの中で絶縁材料として最も優れた電気的特性を持っています。PTFE、PFA、FEPなどは不純物が極めて少なく、無極性であるため水分の影響を受けにくく、高い絶縁抵抗、体積抵抗及び表面抵抗を示し、安定しています。
高周波での絶縁特性や通信分野で重要な誘電特性についても優れています。

非粘着性(くっつきにくい)

フッ素樹脂は分子間に働く力が小さく、表面特性で物質がくっつかないか又はくっつきにくいという性質があります。
この性質は離型性ともいわれます。

 

難燃性(燃えにくい)

他の樹脂やゴムが燃えるような温度では燃えません。
材料が燃焼し続けるのに必要な最低酸素濃度は95%以上です。
(空気中に含まれる酸素の濃度は約21%です。)