【PTFE溶着事例】磁石をフッ素樹脂で密封!耐薬品性・防錆性を高める新技術

⚠️薬液環境で磁石が劣化?よくある課題とは
化学工場や医薬品製造現場など、薬液や湿気の多い過酷な環境では、
使用部品に高い耐久性が求められます。
特に「磁石」は、非接触で使える便利な部品で
固定・攪拌といった多用途で使用されていますが、
実はさまざまな課題も抱えています。
例えば、以下のようなお悩みはありませんか?
・使用している磁石がすぐに腐食してしまう
・表面に薬液や異物が付着しやすい
・汚れが落としにくく、メンテナンスに手間がかかる
・長期使用に耐えられず、頻繁に交換が必要
とくに、強酸・強アルカリや有機溶剤などの薬液環境では、
磁石は劣化しやすく、磁力や機能を十分に発揮できない場合もあります。
こうした課題に対し、陽和では新しい手法をご提案しています。
🧪解決策:「磁石をフッ素樹脂で密封する」という新発想
フッ素樹脂は、高機能素材として医療や半導体分野でも活躍する素材。
これを磁石の外側に「溶着」して「密封」することで、表面をしっかりと保護し、
薬液環境に強い磁石へと生まれ変わらせることができます。
この方法は、従来の「フッ素コーティング」や「カバー取り付け」とは異なり、
一体構造で密着することで、剥がれにくく、より高い耐久性・安全性を実現できます。
🔬フッ素樹脂とは?高機能素材の特徴と種類
フッ素樹脂とは、フッ素を含むプラスチックの一種で、高機能を持つ素材です。
英語では、fluororesin や fluoropolymer などと表記されます。
代表的な種類には、PTFEやPFAなどがあり、
以下のような特性を持ちます。
✅ 耐熱性🔥:高温環境でも変形しにくい
✅ 耐薬品性🧪:多くの化学薬品に対して優れた耐性を発揮
✅ 低摩耗性⚙️:滑りやすい特性で摩耗が少ない
✅ 非粘着性:表面に汚れがつきにくく、清掃性◎
📝もっと詳しいフッ素樹脂の特性はこちらから
これらの特性を活かすことで、
「汚れがつきにくく」「腐食しにくい」「洗浄しやすい」といった
理想的な部品が実現可能になります。
🔄「フッ素コーティング」と「PTFE溶着密封」の違い
混同されがちですが、「フッ素コーティング」がありますが、
今回ご紹介している包む(PTFE溶着)とは構造も性能も大きく異なります。
フッ素樹脂コーティングとPTFE溶着密封の比較表
特徴 | フッ素コーティング | PTFE溶着密封 |
膜の厚み | 数ミクロン程度の薄膜 | 数mm単位の厚みでしっかり保護 |
密着性 | コーティングによって差があり | 一体構造だが、 フッ素樹脂と磁石は接合していない |
耐薬品性 | 劣化で性能低下 | 長期的に安定している |
加工製薬 | 基本形状に依存 | 加工形状に応じた設計が必要 (磁石・サイズ・形状に制約あり) |
ポイントは「一体化」構造
薄くつけるのではなく、磁石を丸ごと包んで溶着することで、
剥がれや欠損のリスクを大幅に低減できます。
🔥PTFE溶着とは?フッ素樹脂を接合する技術
「PTFE溶着」とは、フッ素樹脂同士を熱と圧力のみで接合する技術です。
接着剤や溶剤を使わず、薬液環境でも高い安全性・密着性を実現できます。
💡技術の特徴
・接着剤不使用:薬液が触れる環境でも安全・安心
・剥がれにくい:部品と一体化した構造で密着性◎
・柔軟な対応が可能:金型不要で、小ロット・試作にも最適
陽和では、フッ素樹脂の切削加工から溶着まで自社で一貫で対応。
使用条件や形状に合わせたオーダーメイド対応が可能です。
✅PTFE溶着磁石の性能とメリット
PTFE溶着によって完成した磁石は、
見た目はフッ素樹脂の成形品になりますが、性能は段違いです。
表面をPTFEで密封することにより、
”磁石の長所(強度・磁石)とフッ素樹脂の特徴(耐薬品性・非粘着性)”を両立。
以下のような機能性を備えています。
✅高い耐薬品性
内部の磁石はPTFEにしっかり密封されており、
強酸・強アルカリ・有機溶剤など厳しい環境でも性能を維持。
✅剥がれない構造
一般的なコーティングと違い、
フッ素樹脂自体を溶着して一体化しているため、
長時間の使用でも剥がれや割れの心配がありません。
✅非粘着性による清掃性アップ
表面に薬品や粉体が付着しにくく、サッとふき取るだけで清掃完了。
洗浄の回数や手間を削減できます。
🏭導入事例:化学・医薬・半導体業界での活用例
PTFE溶着によって実現したフッ素樹脂に包まれた磁石は、
さまざまな業界で採用が進んでいます。
ここでは代表的な用途をご紹介します。
🧪 化学・薬品製造工場
使用例:マグネットポンプのインペラ固定用磁石など
・酸やアルカリが飛散する設備では、金属表面の腐食リスクが非常に高い
・フッ素樹脂で包むことで、薬液の浸食や反応を防止
・定期的な交換頻度が下がり、コストメリットも大
・磁石の位置精度もしっかり制御し、性能もUP!
🧬 バイオ・医薬品業界
使用例:撹拌子(スターラー)としての磁石
・高純度環境が求められる医薬品製造では「金属粉やサビ」は大敵
・フッ素樹脂の非粘着性・洗浄性・クリーン性が評価されています
🏭 クリーンルーム・半導体製造ライン
使用例:固定部品やパネルの着脱機構、位置決め磁石
・工具を使わずに磁力でパーツを脱着したいが、金属むき出しでは不安
・フッ素樹脂化により、異物発生のリスクの低減しながら脱着が可能
・滑りやすいPTFEの特徴が摩耗・摩擦による発塵を最小限に
🛠️ 陽和のPTFE溶着技術が選ばれる理由
陽和では、難加工材であるフッ素樹脂の加工・接合を、
自社で一貫で対応。以下のような強みが評価されています。
🔧 専用加工設備を完備
NC設備・マシニングセンター・溶着機などを社内に保有し、
切削~溶着までワンストップで対応。
🧩 カスタム形状対応
磁石の形状や用途に応じて、加工いたします。
複雑な形状の加工実績も多数。
🧪 高度なフッ素樹脂知見
フッ素樹脂の加工に特化した製造実績を積み重ねており、
素材特性・用途別の加工ノウハウが豊富。
素材選定からご相談いただけます。
📦磁石以外にも広がるPTFE溶着の応用例
PTFE溶着は、磁石だけに限らず、次のような用途にも広がっています。
・中空構造の樹脂部品
耐薬品性が必要な流路部品など、従来の成形では難しかった構造も実現可能
・金属部品の樹脂化
金属の強度とフッ素樹脂の表面特性を組合せ、耐蝕性と剛性の両立が可能
📩 お問い合わせ・試作依頼はこちらから!
「この磁石、フッ素樹脂で密封できますか?」
「薬品に強い磁石を探しているのですが…」
「クリーンルームでも使える固定具が欲しい」
など、具体的なご相談・試作のご依頼など対応可能です
用途・形状・数量など、何でもお気軽にお問合せください